任意売却で家を失い、趣味のバイクだけが財産になりました。

銀行に勤めていたときのことです。あるお客様がわたしの上司でもあるローン担当の課長をだずねて来ました。深刻そうなその様子にわたしはちょっと心配しながらお茶を運びました。その方のお話は不況でリストラにあい、ローンが返せなくなったということだったです。そのお客さまは43歳で働き盛りです。きちんとスーツを着こなして地元では大手の精密機器のメーカーの営業をしていたのです。しかしその会社は業績不審でその方は早期退職をすることになってしましました。その方が当該物件である住宅を購入されたのは5年前です。35年のローンなのであと30年支払わなければなりません。


4500万円の物件で残債はあと4000万円以上残っているとのことでした。早期退職ということで退職金は規定より少し多く1500万ということでしたが、それとわずかな貯金をあわせても残債には及ばない、ましてや今後の再就職がうまくいかない場合はその退職金と貯金を食いつぶして生活していかなくてはならないのです。その方は以前は血色が良かったのですが、すっかりやつれて見るからにお気の毒でした。上司はしばらくは失業保険がおりるし、再就職がうまくいくかもしれないのでもう少し考える時間がありますということで今後の事はまた考えましょうということになりました。さてそれから半年、事態は好転しませんでした。その方は再就職先を探したのですが、やっと見つかったところは今までの収入の半分しか得られない会社でした。


おまけに体調をくずしてしまいやはりローンを払い続ける生活は精神的にも物理的にも無理だということになりました。そして銀行とその方は話し合いをした結果、任意売却をすることになりました。家を競売にかけたとしても、その地域の土地の値段は以前より大幅に下がっており、なおかつ中古の家ということで建物そのものの値段も下がっているのです。とても残債をすべて返済できる見込みはありません。それに比べて、任意売却だと普通に家を売ることが出来るので、競売よりも良い値段で売れることが多いそうなのです。そして家を売ったあとの返済の方法なども相談の上で決めることができるなど、銀行にもお客様にとっても良いことなのだそうです。そのお客様に最後にあったのは銀行の応接してうでした。すでに車も売ってしまったので雨の中バイクで来たということでした。これからは大事なバイクだけは大事にしなくてはという一言が印象的でした。

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